ペットの健康コラム
愛犬にチョコを食べさせてはダメなのはナゼ?生活に潜む危険への対処法
- ペットのアレコレ
- 2019/03/01
「犬がチョコレートを食べると命に関わるって本当?」
犬にチョコレートを食べさせてはいけません。
犬はチョコレートの成分を分解しきれず、中毒症状を起こすリスクが高いからです。
しかし、「少しくらい平気でしょ?」「実際、うちの子は食べても元気」という声もあり、結論がどっちなのか迷っている人も多いのではないでしょうか。
そこで、犬が中毒症状を起こすチョコレートの量や、食べてしまった時の対処法まで詳しくお伝えします。
〜目次〜
犬はチョコを食べてはダメ!なぜ中毒になるの?
犬にチョコレートを食べさせない理由は「テオブロミン」という物質により、中毒症状を起こしてしまう可能性があるからです。詳しく解説します。
チョコを食べると中毒症状の恐れがある
チョコレートの成分「テオブロミン」が、犬がチョコレートを食べて中毒症状を起こす原因とされています。
「テオブロミン」はチョコレートを使われたお菓子にはすべて入っているので、ココアやチョコレートクッキーなども犬に与えるのは避けましょう。
アーモンドやマカダミアナッツなどの粒状のチョコレートは、犬が簡単に飲み込むことができるので要注意です。
板チョコなら犬がくわえているところを見つけられますが、アーモンドチョコなどは一粒が小さいので飼い主が気づかないうちに、たくさん食べてしまいます。
犬が中毒を起こす原因「テオブロミン」とは
テオブロミンはチョコレートに含まれている苦み成分です。
人間と比較して犬はテオブロミンの分解速度が遅いため、中毒症状を起こします。
犬によるテオブロミンの分解は、人の二倍以上の時間が必要と言われており、人間用のチョコレートを食べさせるのは危険です。
砂糖不使用のブラックチョコレートもダメな理由
犬の健康に気をつかい、砂糖不使用のブラックチョコレートを選ぶということもやめましょう。
チョコレートを避ける理由は糖分ではなく、カカオに含まれる「テオブロミン」なので、糖分を避けても意味がありません。
とくに砂糖不使用のブラックチョコレートはカカオの使用量が多く、通常より多くテオブロミンが入っており、少量でも中毒症状が起きやすいので逆効果です。
チョコレートの種類に関わらず、犬にチョコレートを与えるのはやめましょう。
「犬がチョコを食べると死ぬなんて嘘!」がウソである理由
「犬がチョコレートを食べると死ぬなんて嘘!」「気にしすぎ」という意見を訴えている人もいます。
なぜそのような意見があるのか、結局結論はどうなのか、という点についても確認していきましょう。
実際に犬がチョコを食べて死亡する事故は起きている
実際に犬がチョコを誤食して死ぬ事故は起きています。
注意が必要なのは、少量で中毒を起こすリスクの高い小型犬です。
自宅に放置していて高カカオのチョコを小型犬が食べると、チョコレートの種類や犬の特性によっては、命にかかわる可能性が十分にあります。
チョコを食べると最悪の場合、死に至ることも実際にあるので、嘘とは言えません。
少量でも犬に負担を与える食品は避けるべき
実際に犬がチョコを食べて亡くなる事故は起きているのものの、チョコを食べたら必ず亡くなるというわけではありません。
しかし、それを理由にして「致死量に至らなければ与えてもよい」と発想してはいけません。
犬にチョコレートを与えることに抵抗がなくなるのは、中毒事故が発生する元ですし、誤って犬が大量に食べるリスクもあります。
そもそも、犬にチョコレートを与えても糖分過多、脂肪分過多でメリットはありません。
愛犬のことを思うのなら、犬に負担のかかるチョコレートをはじめとした食べ物を与えるのは止めましょう。
チョコによってテオブロミンの量は全然違う
チョコレートの個体によってカカオの量はまちまちです。
あのチョコは大丈夫でも、このチョコはダメだったということも十分ありえます。
犬によっても、テオブロミンに極体に弱い子もいるので、抵抗なくチョコを与えるのは危険なのです。
【チョコの種類・体重別】犬が中毒を起こすチョコの量とは
注意していても犬が誤って食べてしまった場合は、焦ってしまいますよね。
まずは落ち着いてどのくらいの量のチョコを食べたのかを確認しましょう。
犬が中毒を起こすチョコレートの量の目安をご紹介します。
犬の体重別!犬が中毒を起こすチョコレートの量一覧表
犬が中毒を起こすテオブロミンの量は体重1kgあたり100mgと言われています。
ミルクチョコレートとダークチョコレートのテオブロミンの量を踏まえ、板チョコを何枚食べると中毒症状を起こす可能性が高いのかを算出しました。
体重5kgの犬
・ミルクチョコ:230g(板チョコ約4.6枚分)
・ダークチョコ:90g(板チョコ約1.8枚分)
体重10kgの犬
・ミルクチョコ:460g(板チョコ約9.2枚分)
・ダークチョコ:180g(板チョコ約3.6枚分)
体重15kgの犬
・ミルクチョコ:690g(板チョコ約13.8枚分)
・ダークチョコ:270g(板チョコ約5.9枚分)
体重20kgの犬
・ミルクチョコ:920g(板チョコ約18.4枚分)
・ダークチョコ:360g(板チョコ約7.2枚分)
犬は甘党なので油断は禁物
中毒になる量を読んで「こんなにチョコをあげないよ」と思った方もいるかもしれません。
飼い主がすすんで与えなくても、テーブルに出しっぱなしにしてしまうこともあります。
また、チョコレートケーキやガトーショコラなどをホールで放置していたものを、犬が食べはじめるかもしれません。
犬は甘党なので甘いチョコレートの味は好きですし、ミルクの香りもあると食欲もそそります。
気がついたら多量に食べてしまっていたということもありえます。油断しないようにしましょう。
愛犬がチョコを食べた時の対処法「症状があればすぐ病院へ」
愛犬がチョコを誤って食べてしまったのに気づいたとき、飼い主はどのような行動をとればいいのでしょうか。
「命に関わる」と焦ってしまいがちですが、まずは落ち着いて様子を見ることが大事です。
誤食した量が少量ならあわてず様子を見る
もし「ひとかけら食べてしまった」など、誤食した量が小量なのであれば、あわてる必要はありません。
素人で処置をしようとするのはリスクのある行為なので、まずは様子を見て、症状が出たら病院へ連れて行くようにしましょう。
多量に食べた時に自分で吐かせるのは危険
多量に食べてしまったと感じた時でも、素人が無理に吐かせるのは危険です。
インターネット上では塩を使った方法やオキシドールを使った方法が紹介されています。
塩を使った方法は塩中毒の恐れがありますし、オキシドールを使った方法も素人が行うのは危険です。
処置が必要と感じたら、すぐに病院へ連れて行くようにしましょう。
嘔吐などの症状が出た場合は病院へ
チョコレート中毒は食べてからすぐに症状が現れるわけではなく、食べてから6~12時間後に症状が現れることが多いようです。
すぐに症状が出なくても安心はできないので、様子を見守りましょう。
チョコレート中毒で起きる症状は以下のようなものです。
《チョコレート中毒で起きる症状》
・嘔吐
・下痢
・喘ぎ
・失禁
・動悸
・神経過敏
・興奮
・頻脈
・心臓のリズム障害
・昏睡
・痙攣など
重症の場合は死に至る可能性もあるので、このような症状が確認できた時はすぐに病院へ連れていきましょう。
病院へ行くときは嘔吐物や食べたチョコを持参する
中毒症状で病院に行くときには、獣医さんに状況を説明できなくてはいけません。
獣医さんに伝えるべきことは以下の通りです。
・いつ、どれほどの量のチョコレートを食べたのか
・チョコレートの種類は何か(できればパッケージを持参)
・犬が吐いた吐しゃ物を持参する
獣医さんに適切な情報共有を行うことで、愛犬に正しい治療が施しやすくなります。
チョコレート中毒を起こさせない4つの事前対策
犬をチョコレート中毒から守るためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
すぐに実践できる4つの対策をご紹介します。
チョコレートを放置しない
誤食で多いのが床に落ちたチョコレートや、ローテーブルの上に放置したチョコレートを食べられてしまったというものです。
放置していると、チョコの甘い香りに誘われた犬が誤って食べてしまいます。チョコを放置するのはやめましょう。
人の食べ物を与えない習慣
チョコレートに限らず、人の食べ物を与えること自体をやめましょう。
人間の食べ物は味付けが濃すぎますし、犬が食べてもメリットはなく、リスクが高いのです。
犬が欲しがったらついつい自分の食べ物を分けてしまう人は注意しましょう。
家族で危険性を共有する
「人間の食べ物は犬に与えない」という認識を家族で共有しましょう。
とくにチョコレートの扱いは気をつけるように、強調すべきです。
家族みんなで気を付けなければ、誤食事故を防ぐことはできません。
バレンタインの時期は注意する
チョコレートの誤食事故が多いのは、バレンタインのある2月です。
日ごろ、チョコレートを食べる習慣のない人は贈り物でチョコレートをもらっても、犬へ意識が向きにくくなります。
ついつい放置した贈り物のチョコレートを食べられて、犬が中毒症状を起こしてしまうことがあるのです。
贈答用のチョコレートはカカオの使用量が多い高級品であることが多いため、テオブロミンの含有量も多く、中毒症状が起きやすいので注意しましょう。
まとめ:愛犬にチョコレートは「ぜったい」に与えない
「愛犬にチョコを与えない」ことが賛否両論になっていますが、犬に負担を与えることは間違いありません。
多量に食べてしまう誤食事故を防ぐためにも、普段から事故のリスクしかないチョコレートを与えないようにしましょう。
チョコレートをはじめ、人間用に味付けされた食品には犬に負担を与えるだけでメリットがありません。
人間用の食品は犬に与えないように、愛犬と一緒に過ごす家族全員で気を付けていきましょう。